大量のずわいがにが送られてきたので、お酒も釣り合うものを用意してみた。
白鷹は灘の名酒で、唯一の伊勢神宮御料酒として有名。
昔ながらの製法を頑なに守っているため、皇室の神事では白鷹以外の酒は使用されないそう。
添加物などで安易に仕上げられる多くの日本酒は、神様へ供えるには不適格ということですね。
この極上白鷹で使用されている山田錦は、兵庫県吉川町特A地区で取れたものを100%使用。
精米歩合50%で醸造アルコール添加のない純米大吟醸酒です。
重要な仕込水は、自家所有の井戸水を使っており、すべての原料と工程が地元で完結している点も特徴でしょう。
製法も伝統技法の「生酛(きもと)」造りで、自然に存在する乳酸菌から酒母を育てるため、味が変化するリスクが非常に高く(失敗して廃棄というのも珍しくないとか)、まさに杜氏の腕が試される作り方です。
初期段階で乳酸を加える速醸法とは酒母の力強さが違うそうで、かなりしっかりした出来になるため、「昔懐かしい味がする」という反響が中高年から寄せられていると聞いています。
面倒な「酛摺り」という工程も行われ、これを省略した「山廃」よりも手間がかかっている、国内でも珍しいこだわりの日本酒と言えます。
さて、さっそくいただいてみると、口に含むといっぱいに広がる豊かな香りが素敵です。
これが決して嫌な酒臭さではなく、思わずニンマリしてしまうもの。
名残惜しみつつ喉を通過させてしまえば、驚くほどにすっきりとした余韻だけが残り、最初の芳醇さからは考えられないほど。
しっかりしたボディがあるのに、残像は爽やか、といった感じでしょうか。
今までに飲んだ日本酒の中で、1・2位を争う美味さですよ。
この後味スッキリ加減は危険だなー。
水の如くクイクイいっちゃいますって(笑)。